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芦屋市と西宮市の境にある動物病院の獣医師ブログです。http://www.kazeno-ah.com/


by kazenoah
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獣医のお仕事いろいろ

母校の研修医を2年経験したあと、
続いて私は他大学の皮膚科専門の研修医を1年経験する機会を得る事ができました。
残念なことに、母校の皮膚科は当時専科研修医を募集していなかったのです。
専門科診療は週に1日だったので、他の日は別のところで働いていました。
野良猫の避妊・去勢手術や治療を主に扱っていた動物愛護施設と
某有名デパートのペットショップの専任獣医師と
もうひとつ、某動物プロダクションの動物のための獣医師
この3つをかけもちしていました。

動物愛護施設ではボランティアさんが野良猫(今で言う地域猫)を捕獲してきます。
多い日で20匹近くを流れ作業でどんどん手術していきます。
(手術が終わったら翌日には捕獲された場所にリリースしに行きます)
ここでの経験も今の診療にすごく役にたっていると思います。
医療機器や薬品は必要最低限しかない状態での診療・手術でしたから。

デパートのペットショップは特に話題になるようなことはなかったのですが・・・

動物プロダクションは大型動物が大好きな私には最高の職場でした!
ライオン、虎、ヒョウ、象、サイ、カバ、などなど大型動物が沢山いました。
ちょっとした動物園です。
ライオンは子供のころから人間に飼われていたためかすごく人なつこいのです。
檻に近づきすぎるとジャレて隙間から手を出して来て巻き込まれる事があるので危ないと注意を受けました。
チンパンジーだったかな?類人猿もいましたが、機嫌の悪い時に近づくと糞を投げられる(笑)とのことで、ここにはあまり近づくことはありませんでした。
ニシキヘビの治療もしました。
・・・が専門ではないので、
「前の先生はこの症状の時はこうしてました」
というのをならうので精一杯。
間違って胸腔に薬剤をいれては大変なので、
「ここらへんからお腹かしら?」とあたりをつけて注射をするという荒技。

一番の思い出は虎の手術をしたこと。
巻き爪になりやすく定期的に麻酔をかけて爪を切っていたのですが、
老齢の虎だったので今後も度々麻酔をかけるのはよくないということで、
その爪を指ごと切除することになったのです。
大変だったのは麻酔。
大型動物の麻酔の量がわからず、不本意にも麻酔量が多くなってしまい、
なかなか覚醒せず、本当にドキドキしました。
このときに切除した爪を貰って帰りました。
中国ではラッキーアイテムなのだそうです。
今でも私の宝物です。
我が家のニャンコの手と大きさを比べてみてください。
d0224811_22565273.jpg


余談ですがウチのニャンコ、ソファで爪研ぎをするのでネイルキャップをつけています。
ピンク色のものがキャップです。
爪研ぎでお困りの方はおすすめですよ。
# by kazenoah | 2012-05-18 22:55
前回の投稿から大分時間があいてしまいました。
(年賀状で楽しみにしている・と書いて下さったMさん、猛獣好きのOさん、お待たせしました)


大学病院ならではの経験談を。

私たち研修医とは少々立場が違うものの、JAICAからのアジアの留学生(獣医)もいました。
RさんとYさん。
Rさんのお家はお金持ちで、お国の実家のトイレは30帖あるとか(??ホント??)。
母国語がインドネシア語のYさんは、日本に来てどんどん日本語も上達して行くのが素晴しかった。
半年か1年ずれて、もう一人?さん(名前を覚えてない。。。ごめん)も。
でも、当時(も今も)英語がまったく駄目な私はあまり積極的に彼らと交流が出来なかったので、今になって、とても後悔。
でも、それもいい思い出。

Yさんとはその後15年の時を経て今年、ネット上で再会出来て泣くほど興奮!


ライオンの検査に立ち会ったこともあります。
麻酔をかけての検査だったのですが、なんの偶然か私が呼吸や血圧の管理をすることになり、
あこがれの百獣の王ライオン(メスでしたが)の口の中をいじりまくり。
この牙に襲われたらひとたまりもないな〜なんて思いながら、麻酔濃度の調節に励みました。
残念なことにライオンは治らない病態であることがわかり、検査結果が出ると外国人の調教師さん大泣き。。。私もウルル。。。

他にも珍しい疾患を多く経験出来ましたし、外科の得意な先生が多かったので、学ぶことはとても多かった。
大学病院での2年間は本当におもしろくて、朝、大学病院に向かうのが楽しみで仕方なかったです。
夜も無駄に遅くまで残ってたり。。。
土日も結構な頻度で病院か研修医室に入り浸っていたように思います。

獣医医療はこの20年ほどで飛躍的に変わりました。
母校は、大学病院としてはCTやMRIを導入したのはかなり遅いほうだったのではないかと思います。
私が在籍していたころはまだ大学病院が古くて、最新の診断機器などは殆どなかったので、
診断方法もかなりアナログでしたけど、それは今の診療にとても役立っていると思います。
MRIやCTや、その他の最新の診断ツールに頼る前に出来る事はないか。。。
当時の記憶を頼りに考えることもしばしば。

出来ることなら、最新の医療機器を備えた今の大学病院の研修医もやってみたいです。
# by kazenoah | 2012-01-16 20:42
卒業後の進路を大学病院に決め、就職活動をしなくていいことになった私は、
あとは3月の獣医師国家試験に受かるようただひたすら勉強するのみ(?)。
無事、ストレートで国試に合格することが出来ました。

・・・あ、その前の12月に卒業論文の提出がありました。
ちなみに私のテーマは犬や猫とは全然関係のない、「牛の第四胃変位における蛋白電気泳動のホニャララ」でしたが、何を研究してたのか、今となっては全く思い出せません。
指導して下さったH助教授(当時)、申し訳ありません(><)



そして新年度4月。

さてさて。
当時の研修医メンバーは、下は新卒の私から上は卒後ウン十年の細菌学を長く研究されてて最近臨床へ転向したえっちゃん先生まで、個性豊かな総勢7名。
出身校も様々で、母校出身者より他の大学の卒業者のほうが多かったのにビックリ。
泣いても笑っても1年間は同じメンバーで、嫌なら自分が辞めるしかないわけですが、
新卒、ペーペーの私はよくも悪くも「おミソ」扱いだったので、
少々的外れでも、かなり生意気なこと言っても周りはわりと適当にあしらってくれました^^;

麻△大学の場合、「研修医」は全科と専科にわかれます。
『全科研修』は大学病院直属の獣医師で全ての診療科に関わる研修医です。
月〜金と毎日大学に出ます。
研修医はほぼ無給で、アルバイトするなら土日だけしか時間がありません。
特に既婚者の先生は生活するのも大変だったと思います。

『専科研修』は特定の診療科目だけを学びに来る研修医です。研究生とも呼んでました。
大学病院直属ではなく、各講座に所属し、教授とともに診療にやって来ます。
当時の麻△大学では
循環器科
腫瘍科(←今でも日本一有名です)
眼科
に専科研修医がいたと記憶しています。

当時は専科、全科併せると総勢20〜30名になりました。
(母校のHPを見ると、なんと今は100名近いようです!!!驚いたー)

日によって構成人数は変わりますが、
このメンバーで日々の診療をこなして行きます。

大学病院の診療はどんな感じかといいますと。

まず、一次病院から「紹介」という形で予約が入ります。
例えば血液内科の診療日なら。。。

○○動物病院/マルチーズ/雌/7歳/貧血
××動物クリニック/土佐犬/雄/3歳/貧血

という感じで事前に情報が入ります。

この情報だけである程度診断を絞り込みます。
で、担当研修医を決めます。

同じ「貧血」という主訴でも、犬種と年齢とで、ある程度予想される診断が絞り込めるので、興味のある疾患を疑って、担当を希望することも出来ます。

この「犬種(動物種)」「年齢」「主訴」などから可能性のある疾患を絞り込んでいく作業を「鑑別診断リストを作る」といいます。
これは病気の診断をして行く上でとても大事な行程なのですが、大学病院にいる間にこの鑑別診断リスト作りについて、かなり訓練されたと思います。
毎日毎週、「よく似た症状なのに異なる疾患」のオンパレードでしたから!
# by kazenoah | 2011-11-06 22:21

獣医師への道4〜進路〜

6年生になると(獣医学部は6年制です)、授業(座学)はだいぶ減り、実習主体になって行きます。
希望する進路によって実習内容を選択して行きます。
ひたすら臨床系志望だった私は迷わず「動物病院実習」を選択しました。
獣医学部に付属するいわゆる「大学病院」の診療を体験するものです。
一気に何人も押し寄せると診療の邪魔なので、5〜6人ずつ2週間のローテーションで参加しました。

大学病院では臨床系の講座の教授達が診察をします。
その下に「研究生」や「研修医」という立場の、勉強に来ている獣医師が数名つきます。
で、さらにその下に学生実習の、私たちひよこ学生が見学に付きます。

母校の麻○大学では当時、動物看護師は雇っていなかったので、
学生の仕事ってば雑用、掃除、聞き耳をたてる。。。でした。
それでも、刺激的で私は毎日大コーフン。
楽しく実習を終えました。

大学病院てすごい。
臨床って面白い。
大学の診療をもっと見てみたい。
さて、ここで、呑気な私も、ふと、考えます。

一般的に臨床獣医師の場合、人間の医者と違って卒業後はまず街の開業獣医師の下に(イキナリ)就職します。
そこで獣医療のイロハを学び、スキルアップの為に大学病院に戻ってくる、というのが常道です。
(大学病院では伝染病や、予防、外耳炎や皮膚病、下痢、など、基礎的な治療はまずしません)
イロハも知らないうちに高度医療や珍しい疾患ばかり診てもアタマデッカチになるばかりです。
私も大学の診療に興味があるならば、まずは動物病院に就職して、それから大学病院に戻って勉強(ほぼ無給)する手がある。
でも、就職して数年たってから戻ってくる気力が自分にあると思う??

。。。。。。ないな。。。。


私は卒業してすぐに研修医になる、という、少々無謀な進路を選んじゃいました。
# by kazenoah | 2011-11-04 20:21
ところで、実習ってどんなことをするのか?

病理の実習ではプレパラートを顕微鏡で観察しながら延々色鉛筆で組織図を書いたり
牧場実習では夏休みを利用して牧場で農業体験みたいなことしてみたり
臨床実習では実習用に飼育されている犬の世話と麻酔のかけかたを実体験したり
解剖実習ではどこかの飼育場で病死した牛を解剖して死因をつきとめたり
(ところが私の班の順番のときは死因が法定伝染病と事前に判明し中止になったり←やらずじまい)
まあ、いろいろあった。。。と思います

(昔のことすぎて、あまり詳しくは覚えていません)

そんななか、とてもよく覚えているのが。

当時、我が麻○大学では外科実習の中の『手洗い実習』という伝説の実習がありました。
なぜ「伝説」なのか?
それはあまりに難しくてなかなか合格者が出ないことで有名な実習だからです。

外科学の実習なので、手術器具の名前を覚えたり麻酔の勉強をしたりするのですが
当時の外科学講座の教授の担当するこの『手洗い実習』では
・手術前の手指の消毒
・手術着と手術用手袋を無菌的に装着する
という実習があるのですが、これがメチャ厳しいのです。
触っちゃいけないところ(無菌エリア)をちょっとでも素手で触れたり、
洗う指の順番が違ってたり、
消毒の時に1本だけ指の股を洗いわすれたりすると
すぐ「やりなおし」になります。
合格できないと帰れません。
学生は必死です。
でも、失敗探しをする教授や助手の先生方も大変です。
数人の先生が数十人の手洗い操作をチェックするのですから。
何回も何回も。え。そんな細かいところまで見るの?っていうくらい。

当時は「なんて意地悪な実習」と思ってたものですが
今なら先生方の熱心さありがたさがよくわかります。
どんなプレッシャーの下でも、手術時の手洗いや無菌操作ってものは
手を抜いちゃいけないですからね。
正しい手順で落ち着いてこなさなければイケナイのです。

ところで午後3時頃から始まったこの日の実習、
何故か私、一発合格して早い時間に帰宅を許されたグループなのですが、
きくところによると夜の8時を過ぎても過半数が合格出来ず、
とうとう途中で解散となったそうです。
ちなみに、この手洗い実習の日は、後の予定を入れない、という暗黙の了解があります。
当然ですね〜

あぁ懐かしい^^
今もまだ、この名物実習の伝統は続いているのかな〜
麻○大学生がもし、このブログを見てたら、こっそり教えてください。

         そしてまだまだ続く・・・!
# by kazenoah | 2011-09-16 20:56